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頭痛
片頭痛予防薬について
片頭痛でお悩みの患者様に、当院では新たな選択肢として注射薬での治療を行っております。
日本では頭痛を訴える患者さんは4人に1人と言われており、その中で約3割を占めるのが片頭痛です。典型的にはズキンズキンという激しい痛みを伴い、日常生活が困難となる非常につらい頭痛です。
片頭痛は、様々な誘因を引き金にセロトニンという脳内物質が減少することで、三叉神経が興奮してしまい、CGRP(カルシトニン遺伝関連ペプチド)という血管を拡張させる物質が放出されます。このCGRPは、頭蓋骨にある硬膜や三叉神経に分布しており、片頭痛発作時の血管拡張や炎症反応の直接の原因とされています。
そこで登場したのがCGRPやCGRPの受容体に対して働く新薬で、抗CGRP抗体製剤(エムガルティ、アジョビ)と抗CGRP受容体抗体製剤(アイモビーグ)があります。
エムガルティについて
- ・抗CGRP抗体製剤(ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤)です。
- ・月に1回皮下注射を行います。
≪ 臨床試験成績 ≫
- ・6か月間の使用で片頭痛の日数が減った人の割合は50%減:59%、75%減:33%、100%減:11%。
- ・片頭痛発作がゼロになった例が10%を超えている。
- ・平均で月の片頭痛の日数が8.6日から3.6日分減った。
- ・片頭痛の日常生活の支障度(MIDASスコア)も改善。
- ・使用開始翌月には効果が出ている。
アジョビについて
- ・抗CGRP抗体製剤(ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体製剤)です。
- ・ライフスタイルに合わせた2つの投与方法(4週間ごとに1本あるいは12週間ごとに3本皮下注射)が選択できます。
≪ 臨床試験成績 ≫
- ・反復性片頭痛患者において、50%以上減少した割合はアジョビ4週投与で1ヶ月目43%→2ヶ月目47.1%→3ヶ月目45.4%。アジョビ12週投与で1ヶ月目53.8%→2ヶ月目46.1%→3ヶ月目44.2%。
- ・平均で月の片頭痛の日数が8.8日から4週投与で4.00日分減り、12週投与で4.02日分減った。
- ・片頭痛予防薬を併用しているグループにおいても有効性を示した。
- ・片頭痛予防薬効果不十分グループにおいても有効性を示した。
- ・使用開始翌月には効果が出ている。
アイモビーグについて
- ・抗CGRP受容体抗体製剤(ヒト抗CGRP受容体モノクローナル抗体製剤)です。
- ・4週間に1回皮下注射を行います。
- ・抗体製剤の中でも、アレルギー反応や効果減弱が少ないとされる「完全ヒト化」製剤です。
≪ 臨床試験成績 ≫
- ・反復性片頭痛患者において、50%以上減少した割合は46.5%。
- ・64週投与後の50%以上減少した割合は64.8%。
- ・5年目経過後も中和抗体発現は0.8%。
- ・長期投与試験により安全性の確認。
- ・片頭痛の日常生活の支障度(MIDASスコア)も改善。
- ・使用開始翌月には効果が出ている。
使用方法
- ・いずれも4週間に1回皮下注射を行います。
- ・注射部位はお腹、太もも、腕のいずれかです。
- ・まずは3ヶ月注射を続け、効果判定を行います。
副作用について
- ・主な副作用としては、便秘や注射部位反応(痛み、腫れなど)、傾眠などが報告されています。